新発見!新潟春トマトの魅力「品評会」結果報告
「 新潟春トマト5種の品評会 」
調査期間:2019年5月22日(水)~26日(日)
対象:新潟伊勢丹へご来店のお客様
調査人数:100名
会場:新潟伊勢丹2階 NIIGATA越品ステージ、7階 NIIGATA越品ダイニング
【評価の対象となったトマトの種類/生産地/生産者】
(1)天使の唇/新潟市西蒲区/たくみファーム
(2)とマとマとマと/新潟市北区/ベジ・アビオ
(3)ソプラノ/新潟市東区/ファーム佐助
(4)フルティカ/新潟市北区/本田農園
(5)ハウス桃太郎/上越市/久保田農園
【評価方法】
(1)5種類のトマトを食べ比べる。
(2)甘味・酸味・旨味を5つのレベルで評価する。1 弱い ← → 5 強い
(3)全てのトマトに対して、評価コメントを記入する。
(4)最も好きなトマトを一つ選ぶ。
※今回の品評会での評価基準は嗜好性のみ。パッケージや価格は目隠しで行いました。
【集計方法】
(1)甘味・酸味・旨味のレベルは以下のように計算。
1×評価人数=合計
2×評価人数=合計
3×評価人数=合計
4×評価人数=合計
5×評価人数=合計
全ての合計を足し、回答者の人数で割るとレベルの平均値が出る。
(2)同時に行ったアンケート調査と合わせて、ランキング形式で発表する。
◇品評会にご参加いただいたお客様より、アンケートにお答えいただきました。
◇アンケートにお答えいただいたことにより、以下のようなデータも作成できました。
◇1番好きなトマトにお選びいただいたお客様の「年代別支持率」をグラフに表しました。
◇1番好きなトマトにお選びいただいたお客様の「男女比」をグラフに表しました。
【調査に至った背景】
(1)新潟県は、豊富な農作物に恵まれ、生産者も生活者も「食」へのこだわりが強く感じられる。
作付面積が全国で1位を誇る枝豆や茄子に関しても量より質重視。中でも、トマト愛の強さは調査する価値があると以前より思っていた。
★農林水産省の統計データによると、新潟県の冬春トマトの出荷量は全国で27位にも関わらず、総務省の統計による家計調査では、新潟市のトマト購入量は全国で4位である。
(2)一般的に、トマトの旬は夏のイメージが強いが、新潟のトマト好きな人たちは、新潟の春トマトが特に美味しいことを知っている。
★トマトの起源と言われる中南米アンデス高原地帯の環境と、新潟の春の気候・環境が似ているから、品質の高いトマトが育つと考えられる。
(3)新潟の春トマトは、全国に誇れるレベルだと思う。もっと盛り上げてブランド価値を上げたい。
★日本野菜ソムリエ協会が主催している「野菜ソムリエサミット」で、新潟のトマトは過去に2回金賞を受賞しています。
(4)調査場所が、新潟の中心部であり、トレンドの発信地でもある百貨店だからこそ、当を得たデータの分析が期待できると思った。
★百貨店には価値のある銘品を探しに来るお客様が多く、評価も厳しいと想定。一方で、幅広い世代の人に出会える、日常的で身近な場所とも言える。
(5)農業で盛り上がる県であって欲しいとの願い。
★タキイ種苗が8月31日の「やさいの日」を前に、毎年行っている調査によると、トマトは子供の好きな野菜7年連続、大人の好きな野菜10年連続1位。新潟県の農業を明るく元気に盛り上げたいと考えた時に、幅広い世代に愛される盛り上げ役の野菜が必要だと思った。
【期待している効果】
(1)生産者 →育てやすく
お客様の声を聞くことで、育てているトマトの強み、弱みが明確化。栽培技術・モチベーションの向上が期待できる。
(2)百貨店 →売りやすく
お客様の嗜好に合わせた提案ができるようになる。新潟ブランドのトマトの価値が向上し、売場が活性化する。
(3)お客様 →買いやすく
目的に合った、欲しいトマトを選ぶことができるようになる。新潟のおいしいトマトと出合うことで、新潟がもっと好きになる。
【調査を終えて。総評】
まずは、品評会にご参加下さいました100名のお客様に心より御礼申し上げます。
みなさまからご記入いただいた貴重な評価シートを1枚ずつ、大切に読ませていただきました。
とても真剣にトマトと向き合い、ご記入下さった甘味・酸味・旨味レベルの評価から、トマトへ対するコメントの数々... 心のこもった温かいメッセージを添えて下さった方が多く、生産者のみなさまの日々の努力や苦労がトマトから伝わっているように感じました。
普段、何気なく食べている野菜でも、何種類かを食べ比べると、不思議と野菜の声が聞こえて来ます。
五感を通して感じる声や、思い出の記憶や情報量からも聞こえてくる声です。
また、その時の体調や感情によっても、聞こえて来る声は日々変化します。疲れている時は、酸みに癒され、落ち込んでいる時は、甘みに助けられ、お腹が空いている時は、旨みに満たされるでしょう。
おかげさまで、当初、想像していた以上に、とてもたくさんの野菜の声が集まりました。
全て、余すことなく生産者のみなさまにお伝えしようと資料を作っていたら、なんと朝になってしまいました。
作業を開始したのも朝でした。
この、たくさんのメッセージを、生産者のみなさまへお届けできるかと思うと、嬉しくて涙が溢れて来ます。
お忙しい中、大変貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。
続きまして、品評会の結果についてご報告申し上げます。
100名中40名のお客様が、最も好きなトマト第一位に選んだ「とマとマとマと」は、期待を裏切ることのない味と、そのインパクトの強さから、衝撃的な味を表現される方が多く、忘れられない感動が生まれたのではないでしょうか。
一方で「皮が硬い」とのコメントも多かったのですが、甘味と酸味のバランスに優れていて、後をひく旨味もあり、パリっとした皮がおいしい♪と、マイナス面をプラスに変えてしまうほどの、プレゼンスが非常に強いトマトとも感じられました。
「とマとマとマと」は、最新の栽培技術を投入し、新しいトマトのトレンドを作る「飴系」「蜜系」に一番近い存在でした。
品種は中玉のフルティカなのですが、特殊な技術で水分を抑制して育てることにより、味は濃縮され、実も小さくなり、中玉ではなくミニトマトに姿を変えています。
新潟は農業県なので「大地の強さを感じる昔ながらのおいしいトマトが強いのでは?」と、想像していましたが、結果を見ると、嗜好性としては、新しいトレンドから外れていないと言うことが分かりました。
一方で、特徴のある酸味と、ずっしりとした重みのある緻密な果肉が魅力の「ハウス桃太郎」は、品質の良さを称えるコメントが多く、他の4つのトマトと比べると圧倒的に「甘み」の感じ方で、今回は特別枠になってしまったように思えます。「懐かしい味」「日本を代表するトマト」と言ったコメントが多く見られました。酸味が旨味に変わり、甘みがほんのり残る後味がとても魅力的です。
今回エントリーいただいたトマトは、それぞれに魅力があり、1位を選ぶのは難しいと言う意見も多くありました。
「天使の唇」「ソプラノ」「フルティカ」は、見た目も食感も、十分個性があり、魅力的なトマトなのですが、今回は「とマとマとマと」の個性が突出していて、食べ比べたことにより、それぞれの個性が弱まった印象です。
こちらの3種類は、感じ方が人によって全く異なるのも印象的でした。同じトマトなのに、ある方は甘味を強く感じたり、またある方は酸味を強く感じられます。
「天使の唇」は、男性の支持が圧倒的に高く、期待を裏切らないネーミングと、皮が柔らかく、見た目はサクランボみたいなのに、味は一番トマトらしいとのコメントも多くありました。
後味に、はちみつのような甘味とコクが残るのが印象的です。(^-^)
「ソプラノ」は、贅沢な気分を味わえる品質の良さから、ブランド志向の高い50代以上の女性の支持が高いのも納得の結果です。「毎日食べたい。」「こんなおいしいトマトを初めて食べた。」とのコメントが多く見られました。
おもてなしの席でご紹介したくなる心地よい口当たりと、見た目も美しいトマトです。
「フルティカ」は、優しい甘みとみずみずしさが、若い世代に親しまれ、飲食店シェフからの支持も高く、お料理に使いたくなるトマトとしての魅力が定着したように思えます。
甘みと酸味のバランスがとても爽やかで、気が付くと食べ過ぎてしまうトマトです。
世界には、これだけではなく、トマトの種類が8000種類以上あると言われています。私たちが一生をかけても出合えない数ですね。
おいしいトマトの向こう側には、必ず、想いを寄せる作り手の姿が在ります。私たちが、その「想い」を知れる機会は少ないのですが、トマトにそっと耳を傾けて食べることだけでも、その「想い」に触れることは出来ると思います。
南北に広がる新潟県で、お気に入りのトマトを探して歩くのも楽しそうですね。(^-^)
このたびの企画を実現させて下さいました新潟伊勢丹様、収穫の最盛期で大変お忙しいのにも関わらず、優しい笑顔でご参加下さいました生産者のみなさま、売場を盛り上げて下さいましたNIIGATA越品ステージのみなさま、トマトのフルコースやお昼の限定メニューを柔軟にご対応下さいましたNIIGATA越品ダイニングのみなさま、企画を盛り上げて下さいましたメディアご関係者のみなさま、本当に、たくさんのみなさまからのお力添えをいただき、実現することが叶いました。
トマトパーティーで、お客様と生産者のみなさまとご一緒に感動を共有することが出来た時、最高に嬉しく幸せな瞬間でした。
新潟は野菜の力でもっともっと、幸せになれると思います。
このたびの企画に携わって下さいました全てのみなさまに心より感謝申し上げます。
企画及びデータ作成/文 野菜ソムリエ上級プロ 清野 朱美
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